円形脱毛症の原因
円形脱毛症の明確な原因はわかっていませんが、近年では髪の毛の毛根組織に対して免疫機能の異常が生じる「自己免疫疾患」が関与していると考えられています。それも含めて、下記のような原因が挙げられます。
自己免疫疾患
体外からの異物を攻撃して身体を守ってくれる免疫機能に何らかの原因で異常が起こると、正常な組織や細胞に対して過剰に反応して攻撃するようになります。円形脱毛症はこの自己免疫疾患によって、免疫機能が毛包を異物と間違えて攻撃して、壊してしまうことで発症するといわれています。
アトピー素因
アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎やぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアトピー性疾患を起こしやすい体質のことをいいます。円形脱毛症との関連は明らかになっていませんが、円形脱毛症の患者さんの40%がアトピー素因を持っているといわれており、半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因が認められるため、深い関係があるとされています。
遺伝的要因
円形脱毛症は、20%ほどの患者さんにおいて、家族内発生(血縁の家族にも円形脱毛症がある)があるとされています。そのため、明確に関連性は解明されていませんが、円形脱毛症に遺伝的要因が関係する可能性が高いといわれています。
出産後の女性ホルモンの減少
女性ホルモンは発毛に関係しており、減少すると抜け毛につながります。特に注意が必要なのが出産後で、妊娠中は女性ホルモン値が通常の100倍以上に増加していますが、出産すると一気に減少して通常の値に戻ります。そのため、出産から3~4ヵ月後に抜け毛が多くなり、髪の毛全体のボリュームが減る産後脱毛がみられます。そのときにアトピー素因がある場合などは円形脱毛症になることがあります。
精神的ストレス
精神的ストレスが脱毛を引き起こすことはありますが、円形脱毛症の患者さんの大半は精神的ストレスがなくても発症しています。そのため現在では、円形脱毛症と精神的ストレスとの直接の関連性については科学的根拠が乏しいといわれています。