向中野あらかわ皮フ科

ほくろ

当院のほくろ治療の特長

  • まず最初にダーモスコープを用いて、悪性の疑いがないかを診断します。
  • 引っかかる、違和感が強い、悪性を疑う、等の所見のあるほくろは保険適用内で除去が可能です。
  • 当院では瘢痕化しにくいラジオ波メス(サージトロン)を必要に応じて使用して切除します。
  • ラジオ波メス(サージトロン)は皮膚の熱損傷がわずかなため、術後の痛みが少なく、皮膚の治癒スピードも早いです。

ほくろとは

ほくろは、医学的には色素性母斑、母斑細胞母斑と呼ばれる、皮膚の良性の腫瘍です。形は平らなものや盛り上がっているものなどさまざまです。代表的な色は黒色、褐色、茶色などです。女性の場合、妊娠中などのホルモンの影響でほくろの色が変化するケースがあります。顔だけでなく、腕や足、胸やお腹など全身にできる可能性があり、毛が生えていることもあります。

ほくろの種類

主なほくろの種類には下記のようなものがあります。

Unna母斑

Unna母斑は腕や首、ふとももに発生しやすい、直径1cm程度で黒色~茶色をした軟らかいほくろです。桑の実のように表面がでこぼこした形が特徴的です。

Miescher母斑

主に顔面や頭、首に発生するドーム状や半球状に隆起するほくろです。黒色~茶色で、毛が生えていることもあります。幼児期~小児期から発生し、加齢とともに色が薄くなり、肌色に近いものもあります。

Spitz母斑

若年者に多い、黒色~赤色のほくろです。全身に発生しますが、顔に生じやすい傾向があります。急にサイズが大きくなることがあり、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が難しい場合があります。

Clark母斑

胴体や手足に発生することが多い、黒~茶色のほくろです。色は中央がやや濃く、辺縁にむかって薄くなっていき、ぼんやりとして見えることが多いです。

ほくろに似た疾患

ほくろに似た疾患には、悪性腫瘍(がん)のものもあるため注意が必要です。

基底細胞がん

40歳以上に生じやすい、特に高齢者に多くみられる皮膚がんです。初期は黒色をしているため、ほくろと間違われることがあります。ほくろと比べて、表面がつやつやとしています。時間が経つと少しずつ大きくなり、形が変化して中央部分にへこみやくずれが起きたり、破れて出血したりする場合があります。一般的に、患部を外科処置で取り除けば、全身に転移することは珍しいといわれています。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は、メラノサイトと呼ばれる色素細胞が皮膚がん化して生じる悪性度の強い腫瘍です。全身に転移して命の危険もあるため、早期に治療する必要があります。できたばかりの時期はほくろとの区別が非常に難しいですが、形が左右対称でなく、輪郭がぼんやりしていて、色が不均一で、6mm以上の大きさで表面が盛り上がっているという特徴があります。進行すると壊死したり、潰瘍化したりして、悪臭を放つようになることもあります。

脂漏性角化症

脂漏性角化症は、ウイルスなどではなく加齢に伴って生じる老人性のイボです。かゆみや痛みなどの症状はなく、老人性色素斑が次第に大きくなってできるものが多いです。悪性化してがんになることはありませんが、自然治癒することもありません。

ほくろの原因

ほくろは、母斑細胞というメラニンを作る細胞が集まってできる皮膚の良性の腫瘍です。母斑細胞の数や母斑細胞が作るメラニンの量によって、さまざまな色や形のものがあります。中型や大型のほくろは生まれつきのものが多く、小型のものは生まれた後に日光などの影響でできることがあります。

ほくろの診断

前述したようにほくろに似た悪性腫瘍もあるため、気になるほくろを見つけた場合は、医療機関を受診して診断を受けることをおすすめします。

ダーモスコピー
ほくろの診断ではまずダーモスコープという、光の反射などを抑えながら病変部分を見ることができる特殊な拡大鏡を用いて観察します。痛みがなく、手軽に行うことができ、正確性と安全性ともに非常に高い検査方法です。一見、簡単な検査のようですが、正確に色素のパターンを分析して良性と悪性を判別するには、皮膚科専門医としての十分なキャリアや診断経験が必須になってくる検査となります。
病理検査
ダーモスコピー(検査法)の結果、少しでも悪性腫瘍の可能性があれば、患部を一部、または全部を切除して顕微鏡で確認する病理検査を行います。病理検査は専門の医療機関に検体を提出するため、結果が出るのに1〜2週間かかります。ダーモスコピーのみで悪性黒色腫などが強く疑われる際は、検査を行わずに大学病院や基幹病院へ紹介するケースがあります。

ほくろの治療・除去

良性のほくろの場合、基本的に治療は必要ありませんが、患者さんの希望に沿って治療を実施します。ほくろは皮膚の深い部分まで母斑細胞が入り込んでいる腫瘍のため、治療は切除にて行います。当院では、ほくろの大きさや形、できた部位や深さなどの状態に応じて、適切なほくろ除去の方法をご提案しています。

メスによる切除
メスを使用してほくろの周囲の皮膚を切除し、皮膚を縫合して傷口を閉じます。施術前に注射で麻酔を投与し、施術の1~2週間後に抜糸を行います。
くり抜き法
直径1~6mmのパンチに似たトレパンと呼ばれる円形の型抜きでほくろをくり抜きます。表面だけでなく深い部分のほくろの細胞まで取り除けます。小さな穴を開けるだけで傷跡が小さく、傷の縫合が不要な場合もあるため、回復までの時間が短くなります。
ラジオ波メス
高周波エネルギーのラジオ波を照射できるタイプのメスを使用して、ほくろを削りとって治療します。通常のメスと比べて切れ味が良く、ほくろの周囲の細胞へのダメージを低減できるため、傷の治癒が早くなります。炭酸ガスレーザーよりも瘢痕形成のリスクが少ないという報告もあります。切除と同様に止血作用もあるため、施術時の出血はほとんどありません。
炭酸ガスレーザー
ほくろがある部位に炭酸ガスレーザーを照射することで、蒸散作用によってほくろの細胞を除去します。炭酸ガスレーザーは熱エネルギーによって細胞を蒸散させながら、ほくろのまわりの血管を熱で凝固させるため、ほとんどの場合で施術時に出血することはありません。なお、当院では未採用です。

ほくろの日帰り手術の費用

当院のほくろの日帰り手術の費用は下記のとおりです。ほくろの大きさや種類、できた部位が露出部か非露出部かによって手術費用が変わります。

保険診療(3割負担の場合)

項目 料金
拡大鏡検査 約200
手術 約7,000円~14,000円

(参考文献)
日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「メラノーマ(ほくろのがん)」