向中野あらかわ皮フ科

乳児湿疹

当院の乳児湿疹治療の特長

  • 赤ちゃんの肌状態に応じた適切な保湿剤を使用し、肌の乾燥を防ぎます。
  • 必要に応じて、適切な強さのステロイド外用薬や非ステロイド外用薬を処方し、炎症を抑えます。
  • 正しいスキンケア方法を指導し、家庭でのケアをサポートします。
  • 長期的に肌をキレイに保つために、再発を防ぐための生活習慣アドバイスも行っています。
  • 皮膚をきれいに保つことで、成長後のアレルギー疾患対策に繋がることも説明します。

乳児湿疹とは

乳児湿疹とは、生後2週間~1年頃までの赤ちゃんの肌にできる湿疹の総称です。皮脂の分泌が多い顔や頭皮などに生じやすく、赤いブツブツができたり、瘡蓋が現れたりするなど、さまざまな種類があります。

食べ物や繊維の刺激に触れやすい、口や顎の周りを中心に、顔面、頭部、首回り、手首、足首などに生じます。乳児湿疹には、あせもや新生児ニキビ、脂漏性湿疹、アトピー性皮膚炎と確定診断されていない湿疹などが含まれます。

乳児湿疹の症状

乳児湿疹の症状は原因によって異なります。特に多くみられる乳児脂漏性湿疹は、皮脂の分泌が活発になって頭皮や顔、首などに小さな赤い湿疹が散発し、うろこ状の黄色いかさぶたができるようになります。局所的でなく、体全体の皮膚に現れることもあります。

痛みやかゆみを伴うことは少ないといわれていますが、皮膚が炎症を起こして細菌感染などが生じると痛み、かゆみを伴うようになり、赤ちゃんの哺乳量が少なくなったり、皮膚を掻きむしってしまったりするなどの症状が現れます。

その他の乳児湿疹の症状には、ニキビのような小さく赤い発疹が生じる新生児ざ瘡があります。一過性でできる発疹のため、自然に消退するという特徴があります。

乳児湿疹の原因

乳児湿疹の原因には、次のようなものがあります。

皮脂の過剰な分泌

乳児期はホルモンの影響で皮脂の分泌が活発になるため、皮膚の表面で皮脂が過剰に蓄積して毛穴を塞いでしまい、湿疹を引き起こすことがあります。

皮膚のバリア機能の低下

乳児期はホルモンの影響で皮脂の分泌が活発になるため、皮膚の表面で皮脂が過剰に蓄積して毛穴を塞いでしまい、湿疹を引き起こすことがあります。乳児の皮膚は薄く未熟なため、外部刺激から皮膚を保護したり、皮膚の潤いを保持したりするバリア機能が完全には発達していません。そのため乾燥や、唾液や食べ物による汚れ、衣服などとの摩擦といった、少しの刺激にも影響を受けやすく、湿疹や炎症を引き起こす場合があります。

汗による炎症

乳児は体温調節が未熟なため、暑い環境下など外気温の変化で活発に汗をかきます。汗を放置して皮膚を不潔なままにすると、汗腺に汗が詰まることで刺激となり、炎症や湿疹を生じさせることがあります。

乳児湿疹の診断

乳児湿疹は、発症の初期の診断が難しい場合があります。当院では、視診や問診を行い、月齢や患部の状態、経過などを鑑みて総合的に診断しています。乳児湿疹の原因となっている外部刺激やアレルギー反応を推定して、それに適した治療方法を提案します。

乳児湿疹で医療機関を受診する目安

多くの乳児湿疹の症状は、積極的な治療を行わなくても、成長とともに自然に治癒していくケースが多いです。一方で症状が長引いていたり、赤みやかゆみを伴っていたりする場合は、アトピー性皮膚炎に罹っている可能性もあるため、乳児湿疹が疑われる場合は医療機関を受診するようにしましょう。

乳児湿疹の治療

乳児湿疹のなかでも、脂漏性湿疹や新生児ニキビは、適切なスキンケアを施すことで改善するものがほとんどです。ただし、アトピー性皮膚炎の場合は、皮膚の炎症を抑制するために適切なランクのステロイド外用薬を適切な期間使用する必要があります。症状が改善してきたらステロイド外用薬のランクや塗布する間隔の調整や、非ステロイド外用薬の併用などが重要です。軽度の場合は非ステロイド外用薬や保湿剤で改善する場合もあります。当院では診療に加えて、家庭での正しいスキンケアの指導や、再発予防のための生活習慣に対するアドバイスも行っています。

(参考文献)
新生児期の皮膚トラブル実態とその関連要因